更新日: 2026-09-18
個人でスモールM&Aをやる方法。公的な支援窓口の使い方
スモールM&Aとは、個人や小規模な事業者のあいだで、小さな事業を譲り渡す・譲り受けることを指して使われる言葉です。中小企業庁の中小M&Aガイドライン(第3版)にこの言葉の定義はありませんが、同ガイドラインはM&Aを株式譲渡や事業譲渡を含む「事業の引継ぎ」と広く定め、個人事業主で成立した事例も挙げています。
出典: 中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」16ページ・28ページ
「スモールM&A」という言葉は、会社の合併・買収というより、個人や小規模事業者どうしで数十万円〜数百万円規模の事業を譲り渡す・譲り受ける動きを指して使われることが増えました。個人開発のサービス1つの売買もこの延長線上にあります。この記事では、個人がスモールM&Aを進めるときに使える公的な窓口を中心に整理します。
まず知っておきたい公的な仕組み
中小企業庁は、後継者不在の中小企業・小規模事業者向けに中小M&Aガイドライン(第3版)を公表しています。会社同士の大きなM&Aを想定した記述が中心ですが、支援機関に相談する際の基本的な流れ(相談→マッチング→交渉→契約→引き継ぎ)は個人規模の譲渡にも共通します。
実際の相談窓口としては、全国47都道府県に設置されている中小企業事業承継・引継ぎ支援センターがあります。後継者不在の事業者と創業希望者を引き合わせる「後継者人材バンク」を通じて、個人が譲り受け側になるケースも支援対象に含まれています。相談は無料です。
譲り受け側(買い手)として動く場合
スモールM&Aは「会社を辞めて、既にある小さな事業を譲り受けて経営者になる」という文脈でも語られます。この場合、事業を探す窓口としては上記の事業承継・引継ぎ支援センターに加えて、日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援も選択肢になります。譲り渡したい事業者と譲り受けたい個人を無料でつなぐサービスで、成約事例や学習コンテンツも公開されています。譲り受けにあたって資金が必要な場合、日本政策金融公庫は事業承継に関する融資制度も扱っているため、まずは窓口に相談してみるとよいでしょう。
譲り渡す側(売り手)として動く場合
個人開発のサービスのように、そもそも法人化していない小規模な事業を譲り渡す場合は、公的な支援機関よりも、小口の売買に特化した民間のマッチングサービスを使う方が実務的なことが多くなります。公的機関は主に「事業を継続してくれる後継者を探す」ことを目的としているため、数万円〜数十万円規模のWebサービス1つの売却では、対象や手続きのボリュームが必ずしも合わないためです。
「サラリーマンが小さな会社を買う」との違い
近年よく話題になる「サラリーマンが個人でスモールM&Aに挑戦する」という文脈では、主に既存の店舗や製造業などの事業を、法人として、あるいは個人事業として譲り受けるケースが想定されています。これに対して、個人開発のWebサービス・アプリの売買は、譲渡対象が有形の設備や店舗ではなくソースコードやアカウントである点、金額の規模がより小さい点で性質が異なります。同じ「スモールM&A」という言葉でも、自分がどちらの文脈に近いのかを最初に整理しておくと、適した相談先を選びやすくなります。
個人が進める上で気をつけたいこと
会社同士のM&Aと違い、個人同士のスモールM&Aでは専門のアドバイザーを立てないケースが多くなります。だからこそ、次の3点は自分で意識して確認する必要があります。
- 相場観:思い込みではなく、複数の情報源から評価額の目安をつかむ
- 数字の裏付け:売上や利用者数は、検証可能な形で提示・確認する
- 契約書:金額の大小にかかわらず、譲渡の範囲と代金の支払い条件は書面に残す
公的な窓口はこうした基本を無料で相談できる点が強みです。一方で、実際に個人開発のサービス単体を売買する段階になったら、決済や引き継ぎの手順があらかじめ用意されている専門のマッチングサービスに乗り換える、という使い分けが現実的です。
まずは相談してみることの価値
スモールM&Aを検討し始めた段階では、「自分の事業は相談するほどの規模ではないのでは」と感じて、そもそも窓口に足を運ばない人も少なくありません。しかし、事業承継・引継ぎ支援センターや日本政策金融公庫の窓口は、規模の大小にかかわらず相談を受け付けています。相談したからといって必ず利用しなければならないわけでもないため、まずは自分の状況を話してみて、公的な支援に合うのか、民間のマッチングサービスの方が合うのかを見極める材料にするとよいでしょう。
本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・税務助言ではありません。個別の状況については弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。
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