panda-ma
記事一覧に戻る

更新日: 2026-09-18

個人事業の事業譲渡でかかる税金の基本。所得税と消費税の考え方

個人事業主として運営してきたWebサービスやアプリを売却(事業譲渡)する場合、法人の株式譲渡とは異なる税金の考え方が関わってきます。この記事では、国税庁が公表している情報をもとに、所得税と消費税それぞれの基本的な枠組みだけを整理します。個々の資産や取引の性質によって結論が変わるため、実際の申告にあたっては必ず税理士に確認してください。

所得税:資産の種類によって区分が分かれる

国税庁の「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」は、譲渡所得の対象となる資産として、土地・借地権・建物・株式等・金地金・宝石・書画・骨とう・船舶・機械器具・漁業権などを挙げています。事業で使っていた機械や設備などの固定資産を譲渡した場合、その利益は原則として事業所得ではなく譲渡所得として扱われます。

一方で、Webサービスの譲渡代金の中心になりやすい「営業権(のれん代)」については、この一覧に明示的な記載がありません。営業権の対価がどの所得区分になるかは、個々の事案の性質によって判断が分かれる論点であり、この記事では「所得税の扱いは資産の性質ごとに検討が必要」という枠組みまでにとどめます。断定はできません。

消費税:課税資産と非課税資産を区分する

国税庁の「個人が事業用建物等を譲渡した場合の消費税」によると、事業用の建物・機械・車両などの資産を譲渡した場合、消費税の課税対象になります。また、「営業の譲渡をした場合の対価の額」という国税庁の質疑応答事例では、事業をまとめて譲渡する際の対価を、課税対象資産(営業権など)と非課税資産(貸付金などの金銭債権)に区分し、課税対象資産に対応する部分だけに消費税が課されるという考え方が示されています。この事例では、営業権は消費税の課税対象資産として扱われている点に注意してください。つまり、同じ「営業権」でも、所得税と消費税では着目される切り口が異なります。

なお、消費税の納税義務があるかどうか(免税事業者かどうか)は別の判定基準によるため、「消費税等と譲渡所得」もあわせて確認しておくと、税込経理・税抜経理によって譲渡所得の計算方法が変わることが分かります。

個人開発のWebサービスに当てはめると

個人開発のWebサービスの譲渡代金は、多くの場合「サーバーなどの物理的な資産(あれば)」よりも「利用者・ブランド・将来の収益力」といった、営業権に近い性質の対価が中心になります。この記事で紹介したとおり、営業権の所得税上の扱いは資産ごとの個別判断が必要な論点であり、消費税は課税資産として扱われる考え方が示されています。どちらも、契約書での代金の内訳の書き方によって結論が変わり得るため、契約を結ぶ前に税理士へ相談し、代金の内訳(何にいくら払うのか)を契約書に明記しておくことを強くおすすめします。

確定申告のタイミングにも注意する

事業譲渡による所得は、譲渡が完了した年分の確定申告に含める必要があります。個人事業主が事業を丸ごと譲渡した場合、その年の事業所得の計算(廃業までの通常の売上・経費)と、譲渡による所得の計算は別々に行うことになります。譲渡の時期が年をまたぐ場合や、代金を分割で受け取る場合は、どの年分の所得として計上するのかも論点になり得るため、契約を結ぶ前の段階で税理士に相談しておくと、申告時に慌てずに済みます。

まとめ

  • 事業用の固定資産の譲渡は、原則として譲渡所得
  • 営業権(のれん代)の所得税上の扱いは、資産の性質による個別判断が必要
  • 事業を丸ごと譲渡する対価は、消費税では課税資産・非課税資産に区分して計算する
  • 契約書に代金の内訳を明記しておくと、税務上の整理もしやすくなる

本記事は2026-09-18時点の公表情報にもとづいて作成しています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言・税務助言ではありません。個別の状況については弁護士・税理士等の専門家にご確認ください。


売却の相談を進める前に、まずは無料査定で目安を確認してみませんか。[無料査定で自分のサービスの評価額を見てみる](/simulator)